限定承認のメリット・デメリット

限定承認とは

相続財産の範囲内でのみ借金を返す手続きです。
例えば、借金がどれくらいあるかわからない場合は、限定承認をお勧めします。
もし、限定承認によって、借金を支払ったあとに、財産が余れば余った財産について、相続人が取得できます。
この説明からですと、とても良い手続きなので、多くの人が利用されてると思われますが、実際は手続きが煩雑で、限定承認を知ってる人も少ないので、年間約700件しか利用されていないのが現状です。

限定承認の期限(熟慮期間)

限定承認は相続人全員が共同して、家庭裁判所に申述を行う必要があるます。
申述のできる期間は、相続の開始の知った日から3カ月以内なので、相続人の1人が3カ月過ぎている場合でも、他の相続人が3カ月以内だった場合は、共同で限定承認を行えます。

限定承認メリット3つ

  1. 借金はあるが相続財産が把握できない場合
    借金のすべてを相続しなくてよい。
  2. 自宅など特定の財産を残したい
    亡くなれた方の、自宅に相続人が住んでいて、競売で住みところがなくなる場合は、相続人が家庭裁判所の選任した鑑定人の評価額を支払い、優先的に買い取ることができる。
  3. 家業を引き継ぐ
    限定承認を選択すると財産の換価手続きよって、競売にかけられますが、優先的に家庭裁判所の選任した鑑定人の評価額を支払い、家業を続けるために必要な財産については買い取ることができます。

限定承認デメリット3つ

  1. 相続人全員で共同で行う必要がある。
    1人でも反対すれば行えない。
  2. 裁判所の手続が煩雑で手間がかかる。
    裁判所の手続きによって債務を清算するので、その手続き自体が手間がかかります。
  3. 譲渡所得税が発生する。
    限定承認の場合は財産と負債の全てを引き継ぐわけではないので、相続開始の日に被相続人から相続人に財産が譲渡されたものとみなした扱いになり、みなし譲渡所得税が課税されます。
    本来被相続人が申告すべき所得税を、相続人が準確定申告をする必要があります。

必要書類

共通の必要書類

  1. 申述書
  2. 被相続人の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍、改正原戸籍)謄本
  3. 被相続人の住民票除票又は戸籍附票
  4. 申述人全員こ戸籍謄本
  5. 被相続人の子(及びその代襲者)で死亡している方がいらっしゃる場合、その子(及びその代襲者)の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本

【申述人が、被相続人の(配偶者と)父母・祖父母の直系尊属の場合】

  1. 被相続人の直系尊属に死亡している人がいてる場合は、その直系尊属の死亡の記載のある戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
    ※相続人と同じ代及び下の代の直系尊属の戸籍謄本が必要なので、相続人が祖母の場合は、父母と祖父の戸籍謄本が必要です。

【申述人が、被相続人の配偶者のみの場合、又は被相続人の(配偶者と)兄弟姉妹及びその代襲者(おいめい)の場合】

  1. 被相続人の父母の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍、改正原戸籍)謄本
  2. 被相続人の直系尊属の死亡の記載のある戸籍(除籍、改正原戸籍)謄本
  3. 被相続人の兄弟姉妹の死亡している人がいる場合は、その兄弟姉妹の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍、改正原戸籍)謄本
  4. 代襲者としてのおいめいが死亡している場合は、そのおいめいの死亡の記載のある戸籍(除籍、改正原戸籍)謄本

3カ月以内に、相続を承認するか、放棄するか決められないとき

相続の承認・放棄・限定承認は、どれも一度行ったら撤回できないので、慎重に相続財産を調査しても、なかなか相続財産を把握できなくて決められないときは、家庭裁判所に伸長の申立てにより、熟慮期間を伸ばしてもらうこともできます。

まとめ

限定承認は、相続人全員で行わなければいけないし、煩雑で手間もかかるので、あまり利用されていないのが現状です。
検討されている方は、できるだけ正確な相続財産を調べて、一番正しい相続手続きをしましょう。
でも、どの相続にしたらいいのか判断できないときは、専門の方に相談することをお勧めします。

お気軽にお問い合わせください。
濱田行政書士事務所 070-5667-6415

メールでのお問い合わせ